生息地はオーストラリアのタスマニアだけ
タスマニアデビルはオーストラリア本土では3,000年前に絶滅しました。
現在はオーストラリアのタスマニア島のみに分布しています。
絶滅危惧種からの回復
家畜を襲う害獣とされ、駆除対象とされて個体数が激減しました。
その後2006年国際自然保護連合(IUCNレッドリスト)「絶滅危惧種\絶滅の可能性は極めて高い」動物として保護対象になり、少しずつ生息数は回復しました。
(IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種1B類))
※「絶滅危惧種1B類」の数字の正しい表記はローマ数字です。
学名
Sarcophilus harrisii
英名
Tasmanian devil
その後、絶滅危惧種として保護されて数を回復してきていましたが、顔の癌「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)」がまん延したことで、再び絶滅の危機にさらされます。
タスマニアデビルには癌が多いの?
タスマニアデビルは顔の癌「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)」があります。
タスマニアデビルは気が荒いため、繁殖期や動物の死体を取り合うときに、互いに噛みつく習性があります。
その傷口から顔や口の中に伝染性の癌が広がり、感染すると海綿状の口内炎を引き起こして口がただれ、やがて餓死する。致死率はほぼ100%という恐ろしい病気です。
最近では、このタスマニアデビルもDFTDに対する免疫ができてきて、個体数が回復してきているという研究成果も出ています。
タスマニアデビルを救う「セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラム」
野生のタスマニアデビルは、「タスマニアデビル顔面腫瘍病」の伝播などにより激減しました。
タスマニア州政府は2003年から「セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラム」を立ち上げ、飼育下繁殖や発症地域以外への個体導入など、保全活動に取り組んでいます。
この一環として2013年、海外の動物園がタスマニアデビルの飼育を通じた教育普及活動を行うプログラムが始まりました。
東京都日野市にある多摩動物公園では、このプログラムへの参加が認められ、2016年から断続的にタスマニアデビルを飼育してきました。
タスマニアデビルの寿命は?
タスマニアンデビルの寿命は野生で5〜6年、飼育下で6〜7歳といわれています。
一番最近亡くなった多摩動物公園のテイマーの場合、7才でした。
金属も砕くアゴの力がある?タスマニアデビルの食べ物
タスマニアデビルは現存する最大の肉食有袋類とはいえ、たぬきほどの大きさです。
- 頭胴長…約60cm
- 尾の長さ…約25cm
死んだ動物を主食とする死肉食動物(スカベンジャー)、森の掃除をしてくれるのですね。
死肉を食べる理由は、タスマニアデビルが実はあまり狩りが得意でないからです。
鋭い嗅覚で動物の死体を見つけて食べます。
通常の肉食獣はやわらかい内臓を先に食べるのですが、タスマニアデビルは動物の骨を噛み砕き、骨がついた部分をバキバキと好みます。
1日に自分の体重の15~40%も食べるとか。
真っ黒な体色。大きく開く口。するどい歯。そして「タスマニアデビル」という名前から、皆さんはどんな動物を思い浮かべますか? 多摩動物公園は日本で唯一、タスマニアデビルを飼育展示している動物園。展示場でのその姿を見てみると・・・ pic.twitter.com/REAIkXlphr
— 多摩動物公園[公式] (@TamaZooPark) June 18, 2017
タスマニアデビルはアゴの力が強く、80度まで開くことができます。
金属をかみくだくため、家畜や他の動物のケージを破壊することもあるそうですよ。
タスマニアデビルをもっと知りたい!関連記事
日本ではタスマニアデビルを飼育している動物園が3つありました。
残念ながら2023年10月に多摩動物公園で飼育していた「テイマー」の死亡にともない、いっとき飼育している動物園がなくなりましたが、2024年4月に再び公開されます。
タスマニアデビルはなぜ「悪魔」などと不名誉な名前がついてしまったのか、見た目がかわいいのになぜ怖いといわれるのかを解説した記事はこちら↓
タスマニアデビルが生息している場所や食べもの、寿命など生態を解説したのはこちら↓
この記事の執筆者 / 監修者
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▷動物専門・ペット特化ライター&デザイナー
▷慶應義塾大学卒
▷会員制ねこ専用ホテル&シッター・キャッツカールトン代表
▷動物取扱責任者・愛玩動物飼養管理士
▷現在は猫4匹との暮らし。幼少時から犬、リス、うさぎ、鳥、金魚などさまざまな動物と過ごし、生き物を愛してやまない毎日。
▷前職は一般企業で広報、編集校正やってました。
▷多趣味で神社検定とかいろいろ資格あり
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